かいどう海棠
東風嫋嫋泛崇光
香霧空濛月転廊
只恐夜深花睡去
故焼高燭照紅粧
香霧空濛月転廊
只恐夜深花睡去
故焼高燭照紅粧
詩
※日本で一般に読まれている本文によります。
書き下し文
東風 嫋嫋として崇光を泛べ
香霧 空濛として月 廊を転ず
只だ恐る 夜深くして花の睡り去らんことを
故に高燭を焼もして紅粧を照らす
現代語訳
春風がやわらかく吹いて海棠の花はつややかに光り、香りの霧がぼんやりと立ちこめ、月は回廊をめぐっていく。夜がふけて花が眠ってしまうのが心配で、わざわざ高い燭台に火をともして紅い花を照らす。
原文と書き下し文の対照
東風嫋嫋泛崇光 ― 東風 嫋嫋として崇光を泛べ
香霧空濛月転廊 ― 香霧 空濛として月 廊を転ず
只恐夜深花睡去 ― 只だ恐る 夜深くして花の睡り去らんことを
故焼高燭照紅粧 ― 故に高燭を焼もして紅粧を照らす
鑑賞
東風がにわかに、艶な香りをあたためる。夜がふけて花が眠ってしまうのが怖くて、高い燭を焚いて紅い姿を照らす——海棠への溺愛が、戯れのように優しい。
日本で親しまれる理由
「只恐夜深花睡去、故焼高燭照紅妆」
語句
- 海棠
- かいどうの花
- 紅妆
- 紅い化粧。花の形容
- 高燭
- 高い燭台の火
作者
蘇軾の生涯と作品一覧は作者ページへ。
作られた背景
蘇軾の海棠詩。花を人のように疼愛する一句が名高い。